アキレス腱断裂

この腱の断裂は、跳躍や走行中のスポーツ外傷として重要です。この腱の変性が始まる30歳以後に多発しますが、ちょっと足を踏みはずしたような比較的軽い外傷でも発生します。断裂するとプツンと音がして、痛みとともに爪先で立てなくなり、歩行が困難になります。そして断裂部分がへこみ、押すと痛みがあります。

治療法は、このアキレス腱断裂が完全断裂か、部分的断裂か、またはげしい運動をする人かどうかで異なります。部分的断裂はギプス固定で治りますが、いいかげんな治療では、足の力が弱くなって爪先立ちができなくなることもあるので、完全断裂の場合や運動をする人にはアキレス腱の縫合術がすすめられます。杖なしで歩けるように なるまでには6~8週間かかります。

指の屈筋腱断裂

手のひら側での指や手のひらの切り傷と合併しておこります。この腱は、指先、指の 付け根、手のひらなど断裂部位によって治療法が異なり、とくに指の付け根の部分での断裂は、浅指屈筋腱と深指屈筋腱とが同時に断裂され、それぞれを縫合しても、 腱相互間の癒着がおこって、指の機能は回復しないことがあります。

この場合の手術法は2つあります。1つは浅指屈筋腱を切除して深指屈筋腱のみを縫合する方法であり、もう1つは両方の腱を手のひらの中央から先を切除し、そこに腕のところからあまり必要でない腱を採取して、移植(腱移植術)する方法です。

最近では手技の進歩により、この部分の両腱の断裂に対しても、それぞれの断端の縫合を積極的に行なって、よい成績をあげたという報告もあります。とにかく、腱の断裂は専門医で治療することが必要です。