先天性筋性斜頸

首の左右にある大きな筋肉(胸鎖乳突筋)が、傷あとのような状態で収縮してしまう ために、頭が収縮した筋肉側へ傾き、顔がその反対側に向いてしまう変形です。これは、子宮内で、胎児の頭が異常な強制姿勢となったとき、胸鎖乳突筋が圧迫されて拘縮され、これが分娩のときに強くのばされて損傷されておこります。

原因

生まれた当時は、胸鎖乳突筋に比較的軟らかいこぶを触れます。このこぶは 胸鎖乳突筋血腫といい、生後3週くらいまでは大きくなりますが、その後はしだいに小さくなり数か月で消失します。しかし、ときにはこのこぶは硬くなり、筋肉は瘢痕化して索状物となり、短縮して斜頸をおこしてきます。この斜頸を年長児まで放置しておくと、顔から脊柱まで曲がってしまうことになります。

治療

以前はマッサージや徒手矯正が行なわれましたが、しぜんに治癒するものが多いことから、最近では胸鎖乳突筋血腫の状態では、マッサージや徒手矯正は行なわず、斜頸側を軽くのばすような寝かせ方をして、経過をみることがすすめられています。しかし、生後半年を過ぎても斜頸がつづき、筋肉の索状物が触れるものには、この索状物を切る手術が行なわれ、その後矯正包帯が巻かれます。