筋炎

筋炎には化膿性筋炎、限局性骨化性筋炎、進行性骨化性筋炎、皮膚筋炎など、いろいろな種類があります。化膿性筋炎は、腸腰筋炎(腰椎から股関節部に走る筋肉)が代表的なもので、比較的多い病気です。限局性骨化性筋炎は、小児の肘関節周囲の骨折・ 脱臼後にその周囲の筋肉の一部が骨になってしまう病気です。また、頭部外傷や頸髄損傷後にも筋肉の骨化がみられます。骨化の原因はまだ明らかで はありません。進行性骨化性筋炎は、年少期に発病し、全身の筋肉の進行性骨化を特徴としますが、これも原因不明です。皮膚筋炎は膠原病の1つで、まれな病気です。

症状

化膿性筋炎は、突然、悪寒・高熱で始まり、腰痛を訴え、腰筋部や股関節の内側に圧痛があり、しだいに股関節は曲げたりのばしたりできなくなります。限局性骨化性筋炎は、外傷後2~3週間で痛みと運動制限が現われ、 エックス線写真での筋肉の骨化がみられるようになります。進行性骨化性筋炎は、局所の熱感・痛み・圧痛・浮腫があり、そのうちに硬結が触れるようにな り、やがて骨化します。皮膚筋炎は、高熱・倦怠感・頭痛・食欲不振の全身症状に始まり、からだのさまざまな部位の筋肉の痛みと運動不能をおこし、皮膚にも発赤・紅斑をおこすまれな病気です。

治療

化膿性筋炎は、強力に抗生物質を使用し、股関節が屈曲位にあるものは軽い持続牽引を行ない、すでに多量の膿をもつものは切開排膿を行ない ます。限局性骨化性筋炎は、骨化が完全に成熟したときに骨化部の摘出術が行なわれますが、再発に注意が必要です。進行性骨化性筋炎は、急性期には副腎皮質ステロイド薬が使われますが、その効果は不明です。小さな外傷でも骨化の進行を早めるので注意が必要です。皮膚筋炎には、副腎皮質ステロイド薬が有効で、関節拘縮に対しては装具療法が行なわれます。