化膿性骨髄炎

化膿菌が骨へ感染しておこるのが、化膿性骨髄炎です。骨は元来、皮膚や筋肉におおわれ、無菌です。この骨へ化膿菌が感染するには、(1)上気道炎、おでき、歯槽骨炎などの感染菌が血液によって運ばれ骨に定着するもの、(2)化膿した場所の近くの骨に化膿が波及するもの、(3)骨にまで達する傷口や開放骨折から感染するもの、 の3つの経路があります。

このうち、(1)の血液により菌が運ばれて発生するものは、幼少年期に多く、大腿と 下腿の骨によく発生します。成人期にみられる骨髄炎の多くは、小児期に発生した骨髄炎の慢性化または再燃と、(2)(3)により発生するものです。

症状・診断

急性期には、高熱と悪寒があり、局所では拍動性の激痛、熱感、腫脹、 発赤が著明です。四肢の場合、パンパンに腫れあがります。慢性期になると症状は軽くなりますが、しばしば再燃をくり返し、膿が流出する穴(瘻穴)ができます。

治療

急性期には、局所を冷やし、副子固定で安静をはかるとともに、抗生物質が使用されます。早期に適切な治療を開始すれば治る病気です。しかし、抗生物質に抵抗する菌が多くなっているため、こじらすと化膿性関節炎に進 展して、関節が動かなくなったり、骨端成長軟骨板が破壊されたりして、やがて肢長の短縮や変形を生じることもあります。骨髄炎が慢性化して瘻穴をつくると、手術が必要になります。一般的に、骨髄炎は治療の困難なものが多く、治療にあたっては慎重を要します。