テニス肘・野球肘

ラケットやクラブでボールを飛ばすスポーツは、握るときに、指や手の関節を曲げた りのばしたりする筋肉に力が入ります。その筋肉は肘周辺に付着しており、その付着部が外力をくり返し受けることで、部分断裂、炎症をおこし、おもに肘の外側が痛むようになります。この障害は、テニスをする人に多いのでテニス肘と呼ばれていますが、 労働・家事でも発生するもので、上腕骨の下部で、肘に近い部分の外側に炎症がおこる上腕骨外側上顆炎ともいわれています。

また、投げることにより肘に障害をおこすのは、野球が代表的であり野球肘と呼ばれています。これは骨関節の発育が未熟な発育期の投球過多が大きな誘因です。投球動作中は肘の内側では靱帯や筋肉が引っぱられ、外側では圧迫力と回旋力が加わります。その結果、内側では靱帯の炎症、筋付着部の炎症、剥離骨折を、外側では離断性骨軟骨炎という骨の変化を生じるのです。

症状・診断

テニス肘では、ラケットを握り、ボールを打つ際の肘の外側の痛みは当然ですが、手関節の背屈痛や握力の低下があり、タオルをしぼったり、ものをつかん だりする日常動作でも痛みが出ます。野球肘は、初期では投球動作時の痛みと、肘の内側の圧痛が気になります。進行すると、肘の運動痛、運動制限、尺骨神経の不全麻痺が生じます。

治療

受傷直後は、30分ほど氷で冷やすことが必要です。その後は痛む部位を安静にする目的で固定します。その場合、肘ではなく手関節を背屈して固定します。温熱療法、鎮痛消炎薬の内服、局所への副腎皮質ステロイド薬の注射も行なわれます。 この副腎皮質ステロイド薬の注射は痛みをやわらげる効果は大きいのですが、副作用があるのでつづけてよいものではありません。がんこな痛みがつづく場合には、手術療法も行なわれます。

予防

テニスにかぎらず用具を使用するスポーツは、十分な準備運動、よいコンディ ションづくり、正しい用具の選択、正しい打ち方、投げ方を勉強することが、予防対策の基本です。また発育期には、全身の均等な運動といろいろなスポーツを行なうように心がけ、1か所だけを酷使することはさけなくてはなりません。