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  • 人間の骨の成長は、平均して18歳前後で止まります。それ以後、体重がふえつづけていくと、木造の上に鉄筋の2階を建て増したのと同じで、腰や足が不安定で、しかも下肢に加わる力がひじょうにふえます。とくに、膝にたいへん負担がかかり正座することがつらくなります。

    女性では、男性に比べて正座する機会も多く、ふとりやすい傾向もあるために負担も大きく、一種の老化現象である膝の変形性関節症という病気をおこしやすくなります。膝の周囲の軟骨がいためられ、痛みが強く、ときには水がたまり、はれてきます。膝関節の動きがわるく弾力性がないため、正座をしたり、しゃがんだりすると、無理に引っぱるようになるため痛みをおこすわけです。強い痛みや、水がたまれば、早く受診することが大切です。

    軽い痛みのときは、正座やしゃがむ生活をさけ、いすを使用するなど工夫することが大切です。下肢の筋肉が衰えると痛みやすくなりますので、平素から積極的に大腿部の筋肉に力をつける訓練が大切です。

    そのほか、膝を曲げたりのばしたりしたとき、膝のなかがガクンとしたり、ポキンと音がして激痛がおこることがあります。これは膝内障といって、膝のなかでクッションの役目をしている半月板などをいためたときにおきます。運動時の痛みや、筋肉の衰え、水がたまることがあります。

    外傷によって膝の内側と外側にある靱帯をいためますと、階段を下りるときぐらぐらして不安定となり、歩くとき横ぶれがし、関節のなかにある十字靱帯を傷つけたときは膝が前後にぐらぐらします。

    赤ちゃんでは、生まれつき股関節の発育がわるいものと、脱臼している先天性股関節脱臼(骨と関節・子ども)があります。また、生後おむつカバーの使用方法などによって、股関節の発育をわるくすることがあります。現在では予防方法などが進歩し、まれになりましたが、少しはありますから、これを十分に治療しないでいると、成長してから、股関節の適合性がわるくなるため、骨が変形して痛みをおこします。

    子どもの場合、5~10歳ごろの男児で、股関節に軽い痛みがあり、左右アンバランスな上下動があるときは、ペルテス病が疑われます。幼児で、夜に股関節や膝を痛がって泣き、熱やはれがないときは、単純性股関節炎、あるいは発育痛ともいわれるもので、心配なものではありません。

    成人の股関節は睡眠中でも大腿の筋肉に力が加わっており、また立ったり歩いたりするとき相当強い力が加わることになります。したがって、年をとるとともに、一種の老化現象である股関節の変形性関節症をおこしますと、股関節の動きもわるくなり、そのうえに力が加わるわけですから、寝ていても立っているだけでも痛みが出てくるようになり、(股関節の変形性関節症)のように股関節が変形してきます。高齢化社会になりひじょうに多くなりました。

    肘は変形性関節症をおこすことは割合少なく、滑液包炎をよくおこします。また、手ぬぐいをしぼるとき肘が痛む、ボールを投げるとき痛む、肘関節周辺の筋肉が痛むのは、上腕骨外側上顆炎(テニス肘や野球肘)などが考えられ、いずれも心配なものではありません。少量の薬物療法や、温めることで効果があります。

    小児の肘内障といって、2~3歳の子どもで、腕を軽くひっぱったり、少しねじったようなとき泣きだして、腕を下にたらしたまま動かさないのでびっくりすることがありますが、これは乳幼児のころだれでも一度くらい経験がある頻度の高いものです。あわてないで受診してください。まったく心配なものではありません。

    手関節周辺で、とくにおや指側のところが痛み、おや指を曲げるときに痛んだり、手ぬぐいをしぼるときに痛むことがあります。このほとんどは腱鞘炎です。ぽつんとふくれたものができ、鈍痛があればガングリオン(結節腫)が考えられます。

    手首をよく使う仕事の人、とくに大工さんなどが手首の真ん中あたりが痛むときはキーンベック病があります。

    指の痛みで、手のひら側におこるのは、ほとんどが腱鞘炎か、ばね指(弾撥指)です。

    そのほか女性で、指先の関節が変形してくるが、痛みは軽いか、ほとんどないということがあります。みたところ変形が気になりますが、心配なものではなく、放置しておいてもかまいません。とくに女性で、両側の指の関節がはれたり、痛みがあったり、朝起きたとき手指のこわばりがあるときは、慢性関節リウマチが考えられます。

    40歳代前後のはたらき盛りの男性で、とくにお酒や肉類が好きな肥満型の人で、夜中から明け方にかけて、突然に足のおや指の付け根が赤くはれ、焼け火ばしで刺すような、あるいは指をのこぎりでひくような激痛があるときは、痛風が考えられます。